<虫の音>お腹に生息中

 もうすぐ9月、いくら暑い日が続こうとも秋の色が増してくる。
 秋といえばスポーツだの芸術だの文学だのお前USO800もいい加減にしろよと私がほえるまでもなく「食欲」である。いや、食欲だって秋カンケーないじゃんと仰られる方もいるかもしれないがここは黙っていただきたい。
 しかも9月と秋は今回は関係がない。食欲にターゲットを絞りたい。というより食欲の警告ブザー、「腹の虫」について振り返りたい。
 もちろん大人になっても腹が減ったらグゥ~の音も鳴るだろう。ただ、普段は意識しないだろう。敢えて気にするなら会議中などの「人が集まって」「静かな場面」であろう。ただ、こんな私にも会議に出席するような日々があったのだが、私を含めそれを気にしている人はあまりいなかったように思う。
 腹の虫を気にする世代、それはズバリ「高校時代」であった。瑠璃カケスの場合だけど。




 思春期(後期)真っ只中に、人間の躍動音がするのは恥ずかしいものである。そりゃバカな男子は屁をこくやつもいた。もっともあれは音だけではない被害も発生する(むしろそれがメイン)。しかしあくまでも屁は確信犯だし、我慢しようと思えばできるものだ。たまに緊張がゆるんでブゥとかやっちゃう奴もいたが。
 しかし腹の虫は大抵ごまかしがきかない。突然だし、こらえることはほぼ難しい。そして男子とか女子とか関係ない。本来は空腹が辛いはずなのに、なぜか腹の虫が鳴ってしまうことのほうが心配で、またそれを気づかれないようにするのが辛いところだったのだ。

 午前11時以降の授業は緊張モノである。
 現代文のような、特に盛り上がりもなく静かな授業だと余計に困る。よく見ると女子は腹を抑えている。もっとも別な理由もあったのだろうがそればっかりは分からない。男子はそこまで気にはしていないのだが、突然「ぐぅ~」などとデカい音が鳴るとやっぱり恥ずかしいものだ。
 しかも変な音がするときもある。きゅるるるぅ~だのぐるぐるぐるぅ~だの、それは空腹なのか下痢なのかという類まで。

 3年生の時、隣の席になったナツさんは若干例外だった。「あーあたしお腹なるかもワハハ」と宣言して本当に鳴らしていた。一方で不覚にも私が腹の虫を奏でた時には「ねーさっきお腹鳴ってたでしょワハハ」と嬉しそうに突っ込んできた。向こうの席で腹が鳴ってしまいとてもはずかしそうに苦笑するキリさんとは大違いである。
 かと思えば、昼休み前の授業終了5分前というギリギリのところで、教室に響き渡るほどの腹の虫が飛び込んできて、最初は誰だか分かんなかったのに授業終了後「あいつだあいつ」と騒ぎになったこともあった。あれは酷だなあと思った。自分の席からは思いっきり離れていたから余計である。

 私はオリジナルの防衛策として「10時半ぐらいに水か茶を飲んで腹をごまかす」を心がけていた。わりと効果ありだった気もするが、男が腹の虫ごときで何を気にすることがあるのか、器の小ささを悔やむべきであろう。そんなんだから彼女が(以下省略)。
 ・・・器の大きさの象徴として、1年の担任だったえぬ先生はわざわざ腹の虫を聞かせるために机間を巡っていた。しかも顔色ひとつ変えないでやがる。大人とはこういうものなのだろうと、当時は感服したものだがやっぱりかっこ悪いと思った。


 現在は腹の虫が鳴る前に飯を食うような自堕落さである。もっと節制を心がけるべしと自戒すると共に、いっそ腹の虫をMP3録音しておくのもいい趣味かもしれないと思った。嘘である。
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by lidth-s-jay | 2006-08-26 23:03 | 高校専用