廃墟と現在

 Webサイトでも「廃墟」関連を扱っていたり、廃墟についての本も出ていたりと、ブームとまではいかずとも、一時期、旧アパート・学校・ホテルなどの廃墟物件に注目が集まっていた。
 幽霊がどうとか仰るのはちょっと趣味ではないのだが、確かにボロボロになりつつも残骸が残っていたり、あるいは単に埃がかぶっているだけ、などというモノを目の当たりにすると、何かしら怨念が込められているのでは?という怖さは感じる。廃墟で肝試しぐらいならただのバカで済むけれど、カップルが性交に利用したりするという情報もあり、それこそ怨霊にとりつかれてしまえと思ったりする。
c0004895_19533629.jpg ところで、数ある廃墟の中で、現在の日本でも際立つ存在が、おそらく長崎の沖にある端島(はしま)、いわゆる「軍艦島」である。



ご存知の方も多いだろうが、軍艦島は炭鉱労働者とその家族が最大5,300人ほど暮らしていた半人工島で、1974年に炭鉱閉山、無人化した。建造物はそのまま風化し、島全体が廃墟となった。詳しくは軍艦島、で検索されると専用サイトなどが出てくる。
 この軍艦島が20年以上前、AC(公共広告機構)のCMで採用されたことがあった。使い捨てられた町の姿。ボロボロの体育館に置かれた空気の抜けたバレーボールが印象的だった。というかマジで怖かった。なにあれ・・・って感じ。ゴーストタウンと化した軍艦島の姿は恐怖心を植えつけるには十分過ぎた。怖いというか、泣きたくなった。泣いたかもしれない。
 
 軍艦島を遺産として残そう、という意見が上がっているらしい。賛成できない。むしろ解体してキレイにしてやるべきでは、と。ボロボロの廃墟が、骸(むくろ)のまま残る姿からは、悲しさしか見えてこない。
 では同じ廃墟で世界遺産となった広島の原爆ドームはどうなのか、と思うと返す言葉もないのだが、軍艦島も原爆ドームも歴史の教訓を遺すという意を理解できないのも本音だ。美しいものばかりの世の中は虚偽だ、と分かってはいるものの、正面からこの世界の多面性を受け入れることができないでいる。
 
 本当は小学生の頃の「廃墟探検」の話を書こうと思っていたが、こうやって書いているにつれ、そんな「甘酸っぱい思い出」のことを忘れてしまっていた。その件は日を改めて綴りたい。
 記憶が風化しないうちに、できるだけ早く。 
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Commented by さいこ。 at 2004-12-13 19:48 x
個人的に廃墟は興味があります。
大分本も読みました。

今こうして手付かずで残っているから廃墟であって、それを遺産として保護するのは廃墟ではないと思います。いずれ朽ち果てて、何もなくなって初めて、廃墟からの生まれ変わりではないかと。遺産というか、観光目的が見え隠れして、私は嫌ですね。
札幌から2時間車で走れば、軍艦島に似た風景にごろごろ出会えます。炭鉱の跡です。島ではないので、山にまた戻っていく途中のように見えます。それのせいでしょうか。
山に戻るなら、それが本来の姿だと思うので、戻ってほしい。祖父も叔父も炭鉱マンで、私自身炭鉱町で遊んだ子供なので、悲しくはあるけれど。

原爆ドーム。残念ながら私は見たことがありません。でも、あの長崎の銅像よりは意味のある建物であるとは思っています。
Commented by lidth-s-jay at 2004-12-13 20:47
 軍艦島については、おそらく「遺産とすべし」が意見の大半を占める件だと思われます。
 私は感情のまま上記のように書きましたし、特に廃墟となって30年しか経過しておらず、また史実として検証がなされない段階での「遺産」検討は、安易過ぎる、とも考えます。
 
 原爆ドームは修学旅行で訪問しましたが、記憶に留まっていません。
 本稿執筆後、現代史上、重要な建築遺構であるとは思い直したものの、どうも世界遺産というあたかも「美術品」のような扱いには、やはり違和感があるように思います。
 もし朽ち果てたとしたらそれが建築物の運命。継ぎ接ぎだらけの果てに模造品となるよりは「正しいモノの一生」を歩ませてやりたい、と思うのです。
by lidth-s-jay | 2004-12-11 19:54 | 瑠璃カケスの鼻糞 | Comments(2)